ホーム > 予防メインテナンスで健康寿命が延びます
今や、日本人の平均寿命は男女共に80歳を超えました。しかし、最近は単に「何歳まで生きられるか?」というよりも、「何歳まで健康で生きられるか?」ということを重視する人が増えています。
特に、お口の健康は全身の健康に直結していることから、歯のメインテナンスの重要性をしっかりと理解して、健康寿命の延伸につなげることが大切なのです。
【参考文献】
平均寿命:厚生労働省「平成25年簡易生命表について
健康寿命:厚生労働省「平成28年版厚生労働白書」
健康寿命とは、日常生活に制限のない「健康な期間」のことをいいます。平均寿命と健康寿命の差が小さければ小さいほど、亡くなる直前まで健康なのに対して、その差が大きい人は、日常生活に制限のある「不健康な期間」が長いといえます。
世界的にみても、男性に比べて女性の寿命が長いことが知られていますが、2013年の厚生労働省の調査結果では、女性の方が男性よりも不健康な期間が3年も長いことが分かっています。
しかし、残っている歯が多い人ほど医療費にかかる金額が少ないだけでなく、機能歯の数が多い人ほど生存率が高いという結果も出ています。そのため、メインテナンスをしっかり行い歯を健康な状態に保つことによって、健康寿命は延ばすことができるのです。
日常生活に制限がある「不健康な期間」とは、一般的に寝たきり等で介護が必要になる期間のことをいいます。7段階ある要介護区分のうち要介護1~5になる原因として、次の4つがあげられます。
【参考文献】厚生労働省「平成28年 国民生活基礎調査の概況」
これらの4つの原因により、寝たきりになるリスクは高くなりますが、逆を言えば、4つの原因を防ぐことによって、健康寿命の延伸が可能だということがいえます。
虫歯や歯周病によって歯を失った場合、見た目や機能的に悪影響を及ぼしますが、それ以外に健康に悪影響を及ぼします。特に、ここで紹介する8つの疾患は、寝たきりのような深刻な事態を引き起こしかねないため、特に注意が必要です。
歯を失った本数が多ければ多いほど、認知症のリスクが高くなります。特に、歯がほとんどないうえ、義歯を使用していない人が認知症を発症する割合は、歯が20本以上残っている人の1.9倍だということが分かっています。
認知症は要介護者の介護が必要になる原因として上位を占める病気ですが、義歯をすることによって認知症の発症リスクを40%ほど抑えることができます。そのため、歯を失ってもそのままにせず、何らかの治療を受けることが大切です。
歯がないまま放置しておくと、リンパの流れが悪くなって免疫力が低下してしまいます。リンパ管の中を流れるリンパは、老廃物や毒素を運び出すほか、ウイルスや細菌をやっつけるために、筋肉の収縮と弛緩によって常に体の中を循環しています。
ところが、しっかりと噛むことができないと、「口腔周囲筋」と呼ばれる顎の筋肉や、口を開けたり飲み込んだりする際に必要な「舌骨筋」が衰えてしまうことから、筋力の低下によってリンパの流れが悪くなることで、外敵を攻撃することができなくなってしまうのです。
歯が20本以上残っている人に比べて、残存歯が19本以下でさらに義歯を使用していない場合、転倒のリスクが2.5倍ほど高くなります。転倒は高齢者に多い事故で、転倒による骨折で歩行機能が低下し、要介護になる方は少なくありません。
しかし、残存歯が19本以下でも、義歯などで補うことによって転倒のリスクは半減します。入れ歯を入れることで歩く速度や歩幅が増すことで、歩行が安定して転倒しにくくなるのです。転倒予防のためには、杖などの補助具も大切ですが、まずは歯の治療を受けることが重要だといえます。
しっかり噛むことによって満腹中枢が刺激されるため、食べ過ぎを防ぐことができます。また、咀嚼によって食欲を増進する「グレリン」というホルモンの分泌が抑えられることから、よく噛むことが食欲のコントロールにつながるのです。
さらに、噛まないことで早食いになってしまうと、インスリンの分泌が間に合わないため、食事によって高くなった血糖値を上手く下げることができなくなってしまいます。それにより、2型糖尿病が起こりやすくなることから、十分な注意が必要です。
脳の血管が詰まる「脳梗塞」や、脳の血管が破れる「脳出血」「くも膜下出血」のように、脳の血管で異常が起こる病気のことを脳血管疾患(脳卒中)といいます。脳血管疾患は、要介護になる原因としてだけでなく、死亡率としても上位を占めています。
脳血管疾患の主な原因に高血圧や糖尿病があることから、しっかりと噛めるように歯を治療することで、食べ過ぎや糖尿病を防ぐ必要があります。また、歯周病の原因菌は動脈硬化を引き起こすことから、きちんと治療を行う必要があります。
「歯が1本くらいなくても…」と思われるかもしれませんが、歯を喪失すると周囲の歯にさまざまな影響を与えます。噛み合う歯がないため歯が伸びてきたり、隣り合った歯が傾いたりすることで、歯並びが悪くなってしまうのです。
歯並びが悪いと、隙間に食べかすがたまりやすくなるほか、歯ブラシが届かないことで歯磨きが不十分になって、虫歯や歯周病で歯を失うリスクが高くなります。また、片噛みの癖が付くと、体のバランスが崩れるため、肩こりや腰痛を引き起こすこともあります。
歯がないことでしっかり噛むことができないと、胃や大腸に大きな負担がかかってしまいます。よく噛んで食べると唾液の分泌が促されるため、唾液に含まれるアミラーゼという消化酵素によって、炭水化物が分解されやすくなるのです。
さらに、口の中で食べ物と唾液が混ざり合うことで、柔らかくなって噛みやすい状態になるほか、唾液が食べ物をまとめて飲み込みやすくすることで、高齢者の多い誤嚥を防ぐ働きがあるため、食べ物をしっかり噛んで唾液を出すことが大切です。
歯を失うと顎の骨に刺激が伝わらないため、骨吸収が進んでしまいます。特に、総入れ歯を長く使っていると、入れ歯を支える「土手」がなくなることから、舌が肥大化しやすくなるため、舌の動きが鈍くなって唾液が十分に分泌されなくなります。
さらに、大きくなった舌を支えることができなくなって、舌が通常の位置よりも下がる「舌低位」の状態になると、呼吸がスムーズにできなくなるため、口呼吸になってしまいます。唾液の分泌の減少と口呼吸が慢性的になることで、ドライマウスの症状が進んでしまいます。
ここまでご紹介した8つの健康トラブルは、メインテナンスで残された歯を守ることによって回避することが可能な場合があります。当院では、健康寿命を延ばして、いくつになっても生き生きとお過ごしいただくために、定期的な予防メインテナンスをおすすめしています。
予防メインテナンスについての詳細は以下よりご覧ください。
この度の西日本豪雨による被災者の皆様に、心よりお見舞い申し上げます。
西日本各地に大きな被害をもたらしたこの度の豪雨により、被災された皆様ならびにそのご家族の皆様には、心からお見舞いを申し上げます。皆様の安全と一日も早く元の生活を取り戻すことができるよう、心よりお祈り申し上げます。
当院におきましては、幸い大きな被害もなく通常通り診療を行っております。
被災者の方におかれましては、保険証を紛失された方でも保険診療が受けられますのでお気軽にお問い合わせください。
山手グリーン歯科医院 スタッフ一同